「ホワイトスペース周波数」とは、
・特定の目的に割り当てる周波数帯域で、時間と空間を限定すると使わない帯域
特に、テレビ放送のTVWS (TeleVision White Space frequency spectrum)では、次の事情があります。
- ・テレビ放送においては、地域により異なるが、ホワイトスペース周波数は割り当て周波数帯域の中で多くの割合を占める
具体的には、次のような状況です。
- テレビ放送の空き周波数
- ・物理チャンネル数は40あるが、1つの地域の割当ては最大でも12程度。
・地域単位でみると、未使用の帯域は多すぎる。
・CH13〜CH52までの470MHz〜710MHz 帯域幅240MHzを6MHz幅を地域ごとに割り振る。
つまり、他に何の目的にも使わなければ、「有限な周波数帯域資源の無駄遣い」です。
自宅で調べると、地上波ディジタルのチャンネル数は12ありますが、その中の1つは映らないようで、実際には11チャンネルです。
図のように、40チャンネルの割当ての中で、1つの地域で実際に使われていないチャンネルのほうが多いのは、何とも無駄な話です。
日本国内のテレビ放送
日本国内におけるテレビ放送のチャンネル割当を図解します。地上波ではUHF帯の470MHz〜710MHzを使いますが、6MHzの帯域幅で全部で40チャンネルあります。(海外では周波数の割当は少し異なり、ヨーロッパなどはチャンネルの帯域幅は8MHzです。)
右側の図は、関東圏のすべての割当てを表しますが、関東圏の全部で16チャンネル、これでも40チャンネルの半分も使用していないのです。区域ごとにみると最大で12程度です。これが3番目の図です。(3番目の図では9チャンネルですが、自宅では、最近これに加えてTVショッピングのチャンネルが2つあり、合計11チャンネルです。)
用語 | 説明 | |
物理チャンネル | 1つの周波数チャンネルに割当てる番号 | |
表示チャンネル | リモコンや画面に表示する番号。最近の画面表示は3桁の番号を使用する。 | |
地上波 | 放送において、地上局から送信する電波のこと。衛星からの送信と対比する。 | |
UHF | Ultra High Frequency |
日本国内の情勢と世界の動き
TVWSに関して歯がゆいのは、日本国内の動きです。
・諸外国では、双方向サービスである無線ブロードバンドサービスを強化する考え方が主流
であるのに対し、
・我が日本においては、放送の延長で、一方向配信サービスの傾向が強い
これが現状です。
IEEEでは、TVWSに関する標準化活動を進めています。具体的には、802.11af 規格や802.22の策定その他です。
世界のホワイトスペース周波数利用に関しては、米国と英国では導入を決定済みで、こちらの記事に書いたとおり、一部の地域のサービスや実験サービスをすでに始めています。
世界のホワイトスペース周波数利用に関しては、次の動きがあります。(*1)
- ・米国と英国ではすでに導入を決定済み
・米国では2008年11月に無免許機器のホワイトスペース利用を認可済み
・目的は従来のWi-Fiより強力な「スーパーWi-Fi」の提供
・米国では民間企業が空き周波数のデータベースを作成
・オープンなデータ形式とプロトコルの作成も目指す
これらに比べると、我が日本の動きは違います。しかも、現段階では、無線ブロードバンドサービスに関しては、まだどうなるか分かりません。
- ・総務省によるホワイトスペース特区の決定
・羽田空港で「エリアワンセグサービス」の実験を開始
羽田空港内の売店やレストランの情報を映像で配信
データ放送では交通情報やフライト情報も配信する
計画ではワンセグ以外の無線通信の実験も行われる予定
・震災など非常時における緊急情報等の配信の実証等も行うように指示
総務省のサイト 「ホワイトスペース特区」の決定
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban09_01000025.html
参考資料
ホワイトスペース周波数(世界の動き・日本の動き)
Sanada Laboratory