帯域幅 バンド幅 Bandwidth

本来は、周波数の範囲を指す用語。単位はHz(ヘルツ)。

データ通信では、伝送容量(速度)の意味を表すことも多い。他の条件が等しいならば、伝送容量は帯域幅に比例する。なお、同じ帯域幅ならば伝送容量も同じとは限らず、変調方式や符号化方式により大きく変化する。

備考1 フィルタ回路の例
フィルタ回路は、周波数ドメインにおいて必要な帯域を選択する信号処理である。フィルタ回路の通過帯域 (または通過域、pass band)は利得(ゲイン gain)が -3dBの周波数で表す。 -3dBとは、おおよそ1/√2 =0.707倍になる値を意味する。たとえば、通過域が f(Hz)のローパスフィルタ回路は、直流から f(Hz)までの周波数を通過する機能を果たす。実際の具体例を示すと、帯域幅100KHzのローパス・フィルタ (low pass filter)回路は、直流から 100KHzまでを通過する。

ここで、周波数 f(Hz)、この場合 100KHzをカットオフ周波数 (cut off frequency)と言う。ポール(pole)という別の言い方もある。注意が必要なのは、カットオフ周波数を超えた領域をまったく通過しない訳ではない。そのような特性の回路はどんな方法でも理論的に実現できない。

ディジタル信号処理による方法で、アナログ回路と同様の機能を果たすディジタル・フィルタを実現できる。帯域幅の考え方は基本的にまったく同じことが言える。

備考2 メモリの例
コンピュータ・システムの主記憶(メイン・メモリ main memory)は、システムの処理速度と密接な関係がある。プロセッサの性能はメモリ・サブシステムの性能抜きには語れない。メモリ・バスのクロック周波数が 500MHzのものと1GHz (1000MHz) では「バンド幅」が2倍異なるという表現ができる。ただし、処理速度が単純に2倍にはならないことに注意する必要がある。(システムの処理速度はメモリ・バスのクロック周波数だけで単純に決めることはできず、他にも処理速度に影響を与えるレイテンシ laytency 等のパラメータがある。)

備考3 データ通信ネットワークの例
伝送レートの最大値 100MHzの容量(一般の言い方では速度)と最大値 2GHz (2000MHz)のシステムでは、バンド幅は20倍異なると表現できる。

ここで、あえて「速度」ではない「容量(収容能力 capacity)」で表現したのは、データが届くまでの時間はほぼ一定である理由による。実際には、「パケット」等の形式でデータを伝送するが、装置Aから送出したパケットが、目的の装置Bまで届くまでの時間は、いつも一定に近い値であり大きく変わらない。ただ、実際には「ゆらぎ」があり、毎回完全に一定ではない。変化するのは「速度」ではなくパケット等を送り出す「頻度」であることに注目する。