雑音指数は増幅回路などにおいて、入力側の信号対ノイズの比率 SNR と出力側の SNRを定義する。ここで、SNRは Signal to Noize Ratio の略。
- 雑音
- 日本語では伝統的に「雑音」という呼び名が使われるが、名称に音という文字が付いても人の耳に聞こえるとは限らない。可聴帯域は 20〜20KHz程度に過ぎないが「雑音」は可聴帯域以外も含むことは少しも珍しくない。
雑音指数 NF = SNRIN / SNROUT
雑音指数は増幅回路のノイズに関する性能の尺度に使うことができる。
ノイズをまったく発生しない理想増幅器は、NF = 1 (0dB)であり、現実のすべての増幅器の NFは1より大きい。
興味深いのは、どんな増幅器でもNFは1より大きいことから、期待に反して出力側の SNRは悪化する。では、増幅器を使う意味がないのかという疑問に対しては、そんなことはない。
たとえば、入力信号が -90dBm で、入力ノイズが -140dBmのとき入力のSNRは50dB(比率は約316対1)ある。増幅器のNFは5dBのとき、出力のSNRは45dB(比率は約178対1)に減少する。増幅率を20dBとすると出力信号は-70dBmまで拡大する。
ここで、ノイズフロアが-120dBmのスペクトルアナライザで信号を観測する。ノイズフロアは観測する機器のノイズレベルを表す。入力ノイズ( -140dBm)を観測しようとしても、当然ながらこの機械では見えない。スペアナのノイズフロアを20dB(20分の1)も下回るからである。この機械で見えるのは、入力信号は見かけ上 30dBのSNRに見える。(-90dBm -(-120dBm) = 30dB) ところが、出力信号は -70dBmまで大きくなり出力のSNRは50dB (-70dBm -(-120dBm)) あるように見える。