符号に関する概要は、「伝送符号とは」をご覧ください。
❑ A3. Polar Biphase code ポーラー・バイフェーズ符号
「バイフェーズ符号」は、IEEE 802.3 (イーサネット Ethernet)で使います。有線通信の伝送符号において、この方式は世界中で、現在おそらく最も多く使われています。
「バイフェーズ符号」は「マンチェスター符号」の名前のほうが広く知られていますが、次に示すように種類があります。
A3-1. Biphase-L バイフェーズ-L(Manchester-L マンチェスターL)
- Biphase-L バイフェーズ-L(Manchester-NRZ マンチェスターNRZ)
-
・データ”1″は、データ区間の中間点でレベルを遷移する (H→L)
・データ”0″は、データ区間の中間点でレベルを遷移する (L→H)文献により逆の解釈のものがあり、”1″と”0″を入れ替えます。(「図 Manchester」を参照)
A3-2. Biphase-M バイフェーズ-M(Manchester-1 マンチェスター1)
- Biphase-M バイフェーズ-M(Manchester-1 マンチェスター1)
-
・データの開始点でレベルを遷移する (H→L または L→H)
・データ”1″は、データ区間の中間点でレベルを遷移する (H→L または L→H)
・データ”0″は、データ区間でレベルを固定する (H または L)
A3-3. Biphase-S バイフェーズ-S
- Bipahse-S バイフェーズ-S
-
・データの開始点でレベルを遷移する (H→L または L→H)
・データ”1″は、データ区間でレベルを固定する (H または L)
・データ”0″は、データ区間の中間点でレベルを遷移する (H→L または L→H)
(この方式は、Biphase-Mの”1″と”0″を入れ替えたもの)
A3-4. Differential Manchester 差分(差動)マンチェスター
- Differential Manchester 差分マンチェスター
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・データの中間点でレベルを遷移する (H→L または L→H)
・次のデータが”0″ならデータの開始点でレベルを遷移する (H→L または L→H)。
”0″ならデータの開始点でレベルを遷移しない。
(この方式は、Biphase-Lの”0″の状態を反転したもの)
A3グループの共通点
- ・受信側は完全に同期する(伝送クロックを抽出できる)
・パルスレートはNRZの2倍の容量(速度)
・基準レベルが定まらないのは欠点(DC成分の欠落)
電力スペクトル密度から明らかなようにDC成分 (0Hz) はない。
図 Biphase-L (Manchester-NRZ) | 図 Biphase-L PSD |
Biphase-M (Manchester-1) | Biphase-S |
図 Biphase (Manchester) | Differential Manchester |
- PSD
- Power Specrtal Density 電力スペクトル密度
差分マンチェスター符号は、少し変わった特徴があります。マンチェスター(Manchester-NRZとManchester)は、”1″と”0″のパルスパターンはそれぞれ常に同じで固定ですが、差分マンチェスターは固定ではないところが違う点です。タイミング図を見ると分かるように、データは違っても”1″と”0″の同じパルスパターンが現れます。
たとえば、
・1番目の”1″と2番目の”0″
・2番目の”1″と最後(12番目)の”0″