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<更新情報>
2012.08.26
無線LANの方式について、種類と図を追加しました。
その他、数字の誤りを訂正。
2012.05.12
記事のカテゴリを変更しました。
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無線LANとは?
『無線LAN」とは何でしょうか?
…
それは、「無線」と「LAN」に関係します。これについて解説します。
無線LANは、無線通信によりLANを構成するシステムです。
LAN Local Area Network
LANは、近距離を構成するコンピュータ(通信)ネットワーク
ここでは、通信ネットワークについて深くは触れませんが、LANに関する
次の用語を挙げておきます。
ネットワークの用語
WAN Wide Area Network
WANは、LANに対して広く広がるネットワークです。具体的には
インターネットのことを指すことが多いです。
インターネット(Internet)の元の意味は、「複数存在するひとまとまりの
ネットワークどおしをつなぐネットワーク」の意味があります。しかし、
日本では世界に広がるネットワークのことを指す場合がほとんどです。
LANとWANの境界については、どちらがどこまでという明確なものは
ありません。
MAN Metropolitan Area Network
MANという用語は、あまり聞き慣れませんが、LANとWANの中間に位置
します。分け方については、こちらも同様です。この記事では触れませんが
WiMAXは、MANの領域で使う方式です。
無線LANの規格
無線LANは、漠然と無線を使うことは分かると思います。
実際には、次の種類があり、過去に登場したものも含めて挙げてみます。
他にもまだあるかもしれませんが、たとえば、ソニーが開発したFeliCaは、
「電磁誘導」による通信であり、無線電波とは少し異なります。ここには
含めません。
余談ですが、最近では電磁誘導による充電の仕組みがあります。
無線LAN技術の方式
1.IEEE802.11シリーズ
2.Bluetooth
3.ZigBee
4.Transferjet
5.赤外線通信
6.HiperLAN
7.HomeRF
➜ 1番目の「IEEE802.11シリーズ」は、現在の日本で、無線LAN規格の中では
主流のものです。「無線LAN」というとこの規格を意味することが多いと
思います。
➜ 2番目の「Bluetooth」は、数メートルから数十メートル程度の近距離用に
開発した方式です。IEEEの規格番号では、IEEE802.15.1で、周波数帯は2.4GHz
を使用します。
最大で100メートルまでの規格があります。「NFC 近距離無線通信」の
最大範囲を数メートルにすると、これからはみ出るものがあります。
次の図で、「Bluetooth」の一部がはみ出ているのはこの理由です。
周波数をランダムに高速で変え続ける「周波数ホッピング」という非常に
ユニークな仕様です。この方式は、たとえ暗号化しなくとも、無関係な
第三者が通信を簡単に傍受することはできないでしょう。
➜ 3番目のZigBeeは、最大250 Kbpsで、低速ですが低消費電力です。
周波数は、900 MHzと2.4 GHzです。
➜ 4番目のTransferjetは、至近距離で最大560 Mbpsの通信が特徴です。ただし、
560M bpsはシステム全体のレートであり、ユーザーの利用できる実効レート
(速度)は400 Mbps弱です。周波数は、4.5 GHzです。たとえばカメラの大容量
の動画などを無線で送れると非常に便利です。
➜ 5番目の「赤外線通信」は、電磁波の一種である光「赤外線」を使います。
波長は900 nm(ナノメートル)あたりで、周波数で表すと330 THz(テラヘルツ)
近辺です。
➜ 6番目の「HiperLAN」は、欧州の標準化組織ETSIが策定した規格です。
HiperLAN/1と/2が存在しますが、5GHz帯を使用し、最高で54Mbpsの仕様です。
古い資料を基にしているので、その後どうなったのか詳しくは知りませんが
さらに調べると、Hiper LAN技術の製品は市場に出ていないようです。
➜ 7番目の「HomeRF」は、1998年に業界団体HRFWGにより策定した規格
です。日本では、いくつかの企業が委員会を組織しました。その後WiFiと競合し
解散した、過去のものです。
無線LANとWiFi
「WiFi」は、IEEE 802.11規格に沿った製品を対象に、米国の業界団体である
Wi-Fiアライアンスに、機器間の相互接続性を認定してもらい、「WiFiのロゴ」
を使うことができます。
「相互接続性」は、平たくいうと、WiFiのロゴが付く製品どおしは、きちんと
つながることが保証付きです。過去に、同じメーカーの製品でさえもつながらない
問題があったからです。
「WiFi」=「IEEE802.11シリーズ無線LAN」ではなく、お墨付きのないもの
は「WiFi」ではありません。
無線LANとWiFiの関係を図に描きました。
用語 | 説明 | ||
WLAN | Wireless Local Area Network | ||
NFC | Near Field Communication 近距離無線通信は、1メートル程度から数センチの通信範囲 | ||
Bluetooth | IEEE802.15.1 最大24 Mbps、距離は1m〜100m | ||
ZigBee | IEEE802.15.4 最大で250 Kbps、特徴は低消費電力 | ||
Transferjet | 最大560 Mbps | ||
Infrared | 赤外線通信 |
WiFiについては、記事WiFiとはもどうぞ。
無線LANの周波数と帯域幅
このように、無線LANの方式はいくつかありますが、共通するのは機器間通信
に無線(電波)を使う点です。
電波は公共の資源で日本では総務省が管轄し、例外を除いて無許可で自由に
送信することはできません。電波法で定められています。
電波を使い数Mbps(メガビーピーエス)以上の速度を実現するには、かなり
広い帯域幅が必要で、必然的に高い周波数帯を使います。
たとえば、FM放送は76〜90 MHzです。電波法の制限でかってに使うことは
できませんが、仮に無線LANに使用してもわずか14 MHzの帯域幅しかなく、
とても足りません。
無線LANは一般の利用者が使うので、いちいち無線局の免許を取ってはいられ
ません。仮にそうすると、利用者はあまり増えないでしょう。商業利用を促進
する通信事業者は困りますから、免許の要らないものでないといけません。
そこで、無免許で使える周波数帯がありIEEE802.11xx規格では、2.4 GHz帯と
5 GHz帯を使っています。ただし、無制限に強い電波を送信できず出力の制限
があり、日本では2.4 GHz帯で10 mW以下です。
違反して見つかると、法的な裁きを受ける訳です…
2.4 GHz帯はISM (Industrial Scientific and Medical)バンドと呼び、たとえば
電子レンジでも使う帯域です。お互いに影響しないための注意が必要です。
電波の周波数が高いほど直進する性質を強めます。「光」は電磁波の一種
(電波と同じ)でとても高い周波数でありほとんど直進します。回析現象
によりわずかに折れ曲がることはありますが、見えない所に届くというほど
ではありません。
高い周波数帯の電波も直進し、物体の影にある見えない部分に届かない現象
が起こります。
この現象は、使いにくい側面があります。しかし、一方では届かない点が
好都合というメリットもあります。
プロトコル(通信手順)
「通信」というと、一見簡単に感じるかもしれませんが、実は、難しい問題が
潜んでいます。
以下に、その概要を説明します。
どんな通信方式でも、通信するときの約束事があります。
たとえば、電話の例ですが、いきなり話し始めると相手に伝わらないことが
起こります。最初は「もしもし」などで始めるはずです。
コンピュータをはじめ通信を行う機器は、あらかじめ決められたプロトコル
(通信手順)に定めた「ルール」に従い、その手順を守りながら通信を行い
ます。そうでないと、送りたい情報を相手が確実に受け取ったどうか分から
ない状況がすぐに発生します。
この状態に陥ると、通信を進めることができません。
相手が見えない状況での会話のやりとりは、ある種の難しさを伴いがちですが、
電話の声をはっきりと聞き取れる状況ならば会話は難しく感じません。
なぜなら、
それは、人類は高度に発達した脳があり、発生した問題に対して状況を把握し
臨機応変に対処できる能力を持っているからです。
ところが、コンピュータなどの機械は、そうはいきません。なぜなら、人類に
匹敵するほどの考える能力はありません。もし考えているように見えても
それは、あらかじめ組んであるプログラムに従って動作するだけです。
「人工知能」という言葉を恥ずかしげもなく自社の製品に使う業者が
ありますが、そんなものはまだ存在しません。仮に現在の技術で作れた
としても、手で持ち運べる大きさにはとても収まりません。
人工知能の定義が違いますが、ユーザーを惑わせる情報は問題です。
知る限りでは、この分野で最も進んでいるのはIBMの技術ではないかと
個人的には思います。しかし、同社の技術を実装したWatsonは冷蔵庫
10台ほどの大きさで、メインメモリは、15テラバイトもあるそうです。
データ通信において、次はどの種類の信号(時には合図)を送信するのか、
そのパターンは、あらかじめ決められたものです。つまり、ある種の固定した
プログラムに従い動作します。状況に応じて臨機応変に対応する柔軟な機能
はないので、人間のようにはいきません。
通信が途中で途切れないように、さまざまな工夫を盛り込んであります。
これが、通信プロトコルです。
例をあげると、ノイズで少しデータの欠落が発生し誤りが発生しても、受信側
はデータを訂正することができます。ただ、欠落があまりにも多いと補完
できないので、プロトコルによっては「再送」要求を送信側に伝える処理を
行います。
用途によっては、データの再送は行いません。たとえばテレビですが、
ノイズで画面が乱れることが発生します。しばらくしてから再送しても、
その時点で画面はもう次の場面に変わっているので、再送しても使えず
意味がありません。
IEEE802.11無線LANでは、通信手順にCSMA/CAという方式を使います。
CSMA/CA Carrier Sense Multiple Access /Collision Avoidance
CSMAの機能について、簡単に説明します。
1.送信したいステーションは伝送路を調べる
2A. 他のステーションが送信中(※キャリアを検出)なら待つ
2B. 空いているときは、※フレームを送信する
※キャリア 通信する信号のこと
※フレーム 送信データを送る単位(まとまり)
有線のイーサネット(IEEE802.3)でもこの部分は同じ動きです。
一般に、LANで使われる通信方式は、機器間の通信を会議にたとえると
「議長のいない会議」のようなものです。発言者がいないときに誰かが
話し始める方式で、ここから通信が始まります。
しかし、無線ならではの難しさが伴います。…
キャリアの衝突を検出できない事態が発生することがあります。
なぜなら、さまざまな障害により電波は確実に届く保証はないからです。
もし、キャリアが衝突すると、通信は成立しないので、衝突を回避
しなければなりません。
有線LANでは、CSMA/CDというプロトコル(通信手順)を使います。
無線とは違い、衝突の検出は簡単です。
CSMA/CD Carrier Sense Multiple Access /Collision Detection
無線LANでは、「CD」の部分の代わりに「CA」を使うことにより、確実に
する工夫がなされています。
詳細は、長くなるので省略しますが、無線でも確実に通信するための工夫です。
セキュリティ
無線はその気になれば簡単に傍受できます。特殊なアンテナを除き、電波は
四方八方に飛ぶからです。
無線LANでは、暗号化機能を装備しています。方式はいくつかあります。
詳細は、記事WiFiの暗号化通信についてをどうぞ。