特性インピーダンス Characteristic Impedance

 特性インピーダンス ZOは分布定数回路 (distributed constant circuit)において使うパラメータである。分布定数回路を端的に表現すると、距離の概念を取り入れた回路のこと。扱う信号の波長と伝送距離の間には密接な関係があり、一定以上の長さの信号を伝送するライン(伝送線路)では分布定数回路の考え方のもとに信号を扱わないとうまく伝送できない。具体的には、 伝送線路を複数の部品に分解し回路をモデル化する。分布定数回路では信号の反射やリンギング等の歪みを防ぐ目的でZOと等しい抵抗で終端する必要がある。終端の方法には複数の種類がある。
 ZOは単位長さあたりのインダクタンスとキャパシタンス、2本のワイアの直径、間の距離、絶縁体の比誘電率 (dielectric constant) で決まる。ZOは直流抵抗ではないから、導通計などで抵抗値を手軽に測ることはできない。ZOの計測にはタイムドメイン・リフレクトメトリ (Time Domain Reflectometry) を使う方法がある。
  ZOは同軸ケーブル (Coaxial Cable) では50Ωや75Ωなどがあり、ツイストペア・ケーブル (Twisted Pair Cable) には100Ω、120、150Ωなどがある。なお、ZOは同軸ケーブルでは芯線と外皮の距離により変化するので、ケーブルをつぶすと特性は劣化し、信号波形に影響する。
 伝送線路で取り扱う信号の波長について、正弦波では単純に一義的に決まるが、矩形波(現実はほとんど台形波)の「波長」は単純ではない。矩形波は直流から高周波にわたる広い範囲の周波数スペクトルに分解できるが、フーリエ変換 (Fourier Transform) により求めることができる。スペクトルの上限の主要な周波数は、信号レベルが変化する立ち上がり時間(遷移時間)で計算できる。ただし、その周波数で無くなる訳ではなく、さらに高い周波数まで広がる。ディジタル回路の波長を考えるときに重要なのはクロック周波数 fc ではない。fc よりさらに高い領域まで高電力密度の成分を含み fc の25倍程度のものは普通にある。

  参考記事 伝送路とは [3] ー 仕組み
  http://wimax-page.123-info.net/archives/2732

  参考記事 伝送路とは [4] ー 同軸ケーブル
  http://wimax-page.123-info.net/archives/2746