ルーターの基本機能
ここでは、ネットワーク機器のルーターについて解説します。
家庭用の装置では、ADSLモデムや光回線のONUにはルーター機能が付いて
いるものが多いです。
ADSL Asymmetric Digital Subscriber Line
ONU Optical Network Unit 光回線終端装置
「ルーター」は、2つ以上の異なるネットワーク間を相互接続し、複数の機器を
使えるようにする装置です。
簡単にいうと、家庭や事務所にあるPC等のネットワークとインターネットを
つなぐときに使います。
インターネットに同時接続する機器がいつも1台なら、ルーターは必要あり
ません。複数の機器をつなぐときには必要です。
ただ、ルーターには簡易的なファイアーウォール機能があり、いつも1台だけ
インターネットにつなぐ使い方でも、ルーターを使うとより安全です。
その理由は、次のセクションを参照ください。
ルーター使用するネットワークの構成は、次の記事の図を参照ください。
図のどの構成にもルーターがあります。
無線LANの接続形態
http://wimax-page.123-info.net/archives/123
ルーターの重要な役割り
少し細かい話ですが、ルーターの機能について、概略を解説します。
インターネットを初めとする一般のネットワーク環境では、伝送するデータを
IPパケットの形にして通信します。
ルーターはIPパケットを受け取ると、パケットヘッダーの宛先IPアドレスを読み
取ります。じかに転送可能なアドレスであればそこへ転送します。
さらに細かい話ですが、IPアドレスにはネットワーク番号とホスト番号
があり、ルーターは、ネットワーク番号だけで判断します。
「ネットワーク番号」は住所の何丁目を表し、「ホスト番号」は何番地
なのかを表すのと似ています。
ルーターの内部には経路表(ルーティング・テーブル)があり、データをどこ
へ転送するのか判断します。ちょうど、郵便番号にしたがって郵便物を届ける
のと似ています。
経路表に経路情報を登録する方法は、大きく分けて2種類あります。
・手作業で登録する。
・ルーティングプロトコルにより、ルーターどおしが経路情報をやりとり
し、登録する。(プロトコルは、RIP, OSPF, BGPがある。)
じかに転送できない場合もあります。宛先不明ではありませんが、そのときは
デフォルト経路を設定してあり、そこへ転送します。
ルーターの動作は、きちんと説明し本にすると最低でも30ページほどの分量が
あり、この記事の5倍くらいは必要です。ここではかなり簡略化し、概要のみ
を説明しています。
ルーターはグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスを相互に変換する
機能があり、データを転送します。
グローバルIPアドレス インターネットで使う
プライベートIPアドレス LANの内部で使う
LAN Local Area Network 家庭や事務所内のネットワークのこと
グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスとの間で変換を行う機能は、
一種のファイアウォールとして働き、外側のネットワークの世界から内側を
守ります。
なぜ、守ることができるのか、次に説明します。
ルーターの動作について
二つの機器間の通信では、多くの場合、途中で経由する機器がありそこを通過
しますが、目的の宛先は1台の装置です。
送信側の機器は、宛先のIPアドレス宛にデータを送ります。
(ネットワークにつなげるには、IPアドレスは必須です。)
一つの例ですが、AさんがPCを使いあるウェブサイトを閲覧するときの動作は
次のような流れです。
インターネットのどこかにあるサーバーSが、AさんのPCにデータを送信すると、
画面にウェブサイトを表示します。このとき、サーバーSはPCのIPアドレス宛に
データを送ります。
ここで、Aさんがルーターを使っていると、実際にはサーバーSは、AさんのPC
ではなくルーターのIPアドレス宛にデータを送ります。
ルーターは、PCのIPアドレスを記録しており、サーバーSからのデータをPCに
転送します。
サーバーSは、AさんのPCのIPアドレスは知らず、じかに送ることはできません。
PCにはローカルIPアドレスが付いていますが、インターネットからは見えません。
つまり、LAN内のどこ(アドレス)にPCがあるのか知ることはできません。
ルーターには、プロバイダから割り当てられたグローバルIPアドレスが付きます。
そのタイミングは、電源を入れてプロバイダにつながった時点です。
つながった時点で、インターネット側からルーターを見ると、グローバルIP
アドレスが見えます。つまり、ルーターにはデータを送ることができます。
サーバーSはルータとは直接やりとりできますが、そこから先の家庭内のネット
ワークは、ルーターによる一種の壁で守られた状態です。
例えるなら、ルーターは郵便局の私書箱にある郵便受けのようなものです。
送り主は、私書箱宛に届けますが、Aさんの住所は知りようがありません。
ただし、サーバーSは、Aさんが使っているのはどんなPCやインターネット
ブラウザかなどの情報を知ることはできます。しかし、ブラウザによっては、
情報を偽装することができるので、サーバーSが取得した情報がいつも正しい
とは限りません。
ファイアウォールの限界
誤解するといけないのは、ルーターによるファイアウォールは、ウィルスメール
等を検知する機能はなく、防ぐ効果はありません。つまり、ルーターは、伝送
データにウィルスが入っているのか検出する機能はありません。
ウィルスメールを受信して、添付資料を開くなどの操作をすると、感染する危険
があります。防ぐには、ソフトウェアによりウィルス対策を行います。
IPアドレスとMACアドレス
ネットワークにつなぐと、次の二つのアドレスが常に付いてまわります。
IPアドレス TCP/IPネットワークのアドレス
MACアドレス Media Access Control Address
ここでは、両者の違いを簡単に説明します。
(「TCP/IPネットワーク」については、ここでは省略します。)
ネットワークにつながる機器には、1台ずつハードウェアの「MACアドレス」
が付き、普通は変更することができません。
(やろうと思えばできるが、簡単ではない。)
MACアドレスは、機器1台ごとに割り当てた唯一の番号です。わずかな例外を
除き、同じ番号は世界に一つしか存在しません。
(例外については、省略します。)
ネットワーク内で1対1で直接つながる機器間において、データを送るときの
宛先には、MACアドレスを使います。
前節の話題で、サーバーSからのデータがAさん宅にあるPCに届くまでには、
さまざまな機器を経由します。1対1で直接つながる機器間の宛先にMAC
アドレスを使って次々と転送し、宛先IPアドレスの付いた最終目的地(機器)
までたどりき着きます。
ルーターとハブ
ルーター機能を備えたADSLモデムでは、LANポートが一つしかなかったり、
多くても4台までしかつながらないことがあります。こんなときはハブ
(HUB)を使い、つなげる台数を増やすことができます。
ポート 接続する口のこと
余談ですが、米個人の発音は「ルーター」と言いません。「ラウタ」に
聞こえます。最初は、何のことかと思いました。
(「ラ」は日本語の「ラ」と異なります。)
ハブ(HUB)の種類
ハブは、リピーターハブとスイッチングハブがあります。
詳細については、次の記事を参照ください。
ハブとは(ネットワークハブ)
http://wimax-page.123-info.net/archives/212
DHCP機能
DHCP Dynamic Host Configuration Protocol
IPアドレスを自動で割り当てる
DHCP機能を搭載したルーターは、最近では当たり前です。
少し用語を使いますが、IPアドレスを割り当てる側の機器は、DHCPサーバー
です。IPアドレスをもらう側は、DHCPクライアントです。
ビジネスホテルなどで有線LANにつながるのは普通ですが、DHCPにより
IPアドレスを割り当てます。
接続する、DHCPクライアントのPCは、ネットワークアドレスの設定方法を
「DHCPを使う」にしておくと、自動で設定できます。
モバイルルーター
固定型(据え置き型)の無線ルーターは、WAN接続は有線で行います。
(LAN接続は、無線です。)
WAN Wide Area Network
「WAN接続」は、インターネットに接続すること
これに対し、モバイルルーターは、WAN接続も含めてすべて無線でつなぎます。
モバイルルーターは、次の例のようにいくつかの呼び方があります。
1.無線LANルーター
2.モバイルWiFiルーター
3.モバイルWiMAXルーター
呼び方は、この他にもあります。
モバイルルーターのWAN接続の方法は、次の種類がありますが、実際には機器
により異なります。
A.無線LANで公衆無線LANスポットにつなぐ
B.WiMAX回線で基地局につなぐ
C.携帯電話回線で基地局につなぐ
ここで、
「A」の「無線LAN」は、IEEE802.11規格で、多くはWiFiのロゴが付きます。
詳しくは、次の記事を参照ください。
WiFiとは
http://wimax-page.123-info.net/archives/60
「B」の「WiMAX」は、IEEE802.16-2004規格です。
詳しくは、次の記事を参照ください。
WIMAXとは
http://wimax-page.123-info.net/archives/7
「C」の携帯電話回線については、業者さんにより異なりますが、たとえば
イーモバイルの方式があります。詳しくは、次の記事を参照ください。
イーモバイルのDC-HSDPA通信方式
http://wimax-page.123-info.net/archives/343
モバイルルーターのLAN接続の方法は、いわゆる「無線LAN」です。
その多くは、規格でいうと、上記の「A」と同じIEEE802.11です。